「まぁ、まさか覚えてないとは思わなかったけど、逢えたからいいや」
そう言って私の頬に触れる。
「俺さ、今度真琴に逢えたら言おうって決めてたんだ」
「何を?」
「俺さ‥‥」
そこまで言って急に黙るあの人。
不思議に思ってあの人の顔を覗き込んでも、ただ目を見つめ返してくるだけで何も言わない。
どうしたんだろう。
なんだか見つめ合っているのが恥ずかしくなってきて目を反らそうとしたら、両手で顔を挟まれて無理矢理顔を固定された。
どうしようもなくてどまどっていると急に抱きしめられた。
びっくりして声も出ない。
宙ぶらりんになった両手をどうすればいいのかと困ってしまう。


