‥‥こと、まこと。 誰かの呼ぶ声で目が覚めた。 完全に意識が戻ったところで、片方の肩を捕まれて揺さ振られていたことに気づく。 「真琴、やっと起きた」 そこにいたのはあの人だった。 私が起きたのを見てどこか安心したような顔をしている。 「ごめん、私そんなに寝てた?」 「うん。僕が来ても全然起きないし、しばらくは寝かせておいたんだけど、ちょっと寒くなってきたし」 「確かにそうだね。ありがと」 確かに私が寝始めたときよりちょっとだけ肌寒い。 春と言ってもまだ完全に暖かくはなっていないのだ。