『ぷはー』
それと同時に解放される口。
「また叫びそうになったろ」
『だって…』
全然気づかなかったけど、いたんだ。沙羅の後ろに……妖怪が。
裕人みたいな、人間そっくりな幽霊じゃなくて。
ボロボロのハギレにくるまって、あたしを睨んできた………タヌキが。
『疫病神って、可愛いんだね』
それが第一の感想だった。
「バカ。見かけはアレでも、能力(ちから)は強い。あの沙羅が寝込んだんだぜ?」
『そ、そっか…』
沙羅は、幼稚園、小学校、中学校と、ずっと皆勤賞をとっちゃうような病気知らず。
そんな沙羅が寝込む。
つまり、相当強い。
『ど、どーすれば…』
「どーするっつったって…祓うしかねぇだろ」
『どうやって!?』
「知ってたらやってるよ」
知らないのーっ!?
「とりあえず沙羅は助けねぇと。このままタヌキが居座り続けたら、沙羅が危ねぇし…」
『そうだねぇ…』
しばらく2人で唸っていると、
「そーだ!」
裕人が思いついたかのように言った。
「苺、タヌキ持って帰るぞ」
『へっ!?』
持って帰る!?
いくらタヌキでも、あの沙羅を寝込ました疫病神だよっ!?
あたしが病気になっちゃうじゃん!!
……もしかして…
どうでもいいの?あたしより、沙羅のほうが大事…?
…ってあたし何考えてんだろ。沙羅が苦しんでるのに嫉妬なんて……
「苺?お前、変な想像してねぇだろな」
『え…?』
「な、何涙目なってんだよ!!」
わたわた焦る裕人。
あ、やば…


