『もう!裕人のせいでみんなから変な目で見られちゃったじゃんか!!』
「お前が勝手に叫んだんだろーが」
『うぅ〜…』
やっと授業が終わって放課後。
プリンとリンゴを片手に沙羅ん家へ向かうあたしたち。
もちろん、裕人は見えないから、こそこそ話してる。
「っつか俺、沙羅ん家行くの初めてだわ」
『あたしこの前お泊まりしたよ。スッゴく広いの』
「へぇ………ところで苺」
『なぁに?』
「さっきから…左っかわ、ずーっと同じ塀が続いてんだけど」
『そーだよ。入り口の位置、間違えちゃったら一周するのに3時間かかるから大変なんだ〜』
「さ、3…時間?」
目をぱちくりさせてる裕人。どうしたのかな?
すると、やっと門が見えた。
『あ、あった!入り口だよ』
「お、おう…」
なんかキョドってるし。
あ、そうそう。これ言わなきゃ。
『門から玄関まで車移動なんだけど…乗る?飛ぶ?』
「車移動!?」
裕人は少しこめかみを押さえて、考える素振りを見せてから口を開いた。
「沙羅って…お嬢様?」
『そだよ?しゃちょーれーじょー』
「えぇ!?」
あれ、知らなかったっけ?
「しゃちょーれーじょー…社長令嬢!?」
『そう言ってんじゃん。ほら、入ろうよ?』
ポカーンと屋敷を見つめてる裕人。
「お前と沙羅って、付き合い長いっけ?」
『うん。あたしたちが生まれた病院、同じなんだ。ママと沙羅ママの病室が隣で、仲良くなったんだって〜』
「…いいか、苺」
『ん?』
ガシリとあたしの両肩を掴んで、向き合う裕人。
「お前は小さい頃から見慣れてるから、沙羅=お嬢様が定着してるだろうが、俺は学校での沙羅しか知らねぇ。
あのサバサバ女がお嬢様だなんていまだに信じらんねぇくらいだ。
たとえお前にとって常識でも、俺にとっちゃ混乱でしかないから、もっとしっかり説明してくれるか?」


