城を囲む森はとても広く、何の目的も無く迂闊に入ってしまっては城に慣れた騎士でも迷ってしまう。それに空を覆う高い木々達のおかげで夜になると本当に暗闇と化す。おまけに野生の獣などもいるから危険だ。 「くそっ!どこに行ったんだ!」 すっかり闇となった森の中をセイは闇雲に走っていた。そんなに遠くに行ってるとは思えないが…。 その時、草を踏む足音。 「お前の部下が追ったんだろ」 「ヒナタ…」 近くにヨツバはいない。落ちた時に逸れたのか…。サヤが変な事をしてなければいいのだが…。