「うおーっ!気持ちーい!奈々天才だぜー!」

「当たり前じゃない。どう春、気持ちいい?」

「うんっ!凄い……凄いよっ!」


目の前に広がるのは
満天の星空と綺麗な満月

春は目をキラキラ輝かせていた


体力的に春だけで飛ぶのはキツいから
俺が春を抱いて飛んでいる


……お姫様抱っこですが何か?


腕の中の春から伝わる温もりに
恥ずかしくなって思わず顔が熱くなる

冷たい夜風が程よく
クールダウンしてくれるおかげで
なんとか心臓が保ってる

さっきからバクバク煩いんだよ
どうしちゃった訳?俺の心臓は


「なあっ!どうせならさー、南の島行かねえ?」

「南の島ってどこにあるのよ。」

「南!」

「………。」


無表情の奈々が手を下ろすと
陸は地面に向かって急降下
いやああああ!!と叫ぶ陸を
地面スレスレで止めると
奈々は手を上げ陸を急上昇させた

恐怖で固まり、震える陸に
奈々はにっこりと微笑んだ


「細かく言ってくれなきゃ分からないわ。本当に馬鹿ね。」

「た……タヒチ辺りがいいと思いますです……。」

「最初からそう言いなさいよ。馬鹿ね。」


どこか満足そうな奈々を見て
俺の浮かれた気持ちは消えていった


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