奈々は大きな瞳に涙を溜め
震える手で口元を押さえ
陸は黙って拳を握り締め
沼から目を逸らした
「何黙ってんだよ!!諦めてんじゃねえよ!!」
沈黙を破ったのは
普段は決して声を荒げない蓮の叫び
蓮は沼に駆け寄って
黒い水の中に手を突っ込み
沼の中にいる春を必死で探す
「春ちゃん!!」
しかし、沼は小さくなるばかりで
ピチャピチャと水の跳ねる音と
春の名を呼ぶ蓮の声だけが
その場に虚しく響いた
沼は完全に消え去り
残るのは巨大な魔法陣
行き場のない怒りを拳に込めて
蓮は地面を思い切り叩きつけた
また、守れなかった
大切な人を守れなかった
「くそ……っ!」
涙を堪える蓮の気持ちは
奈々も陸も海斗も同じだった
リールはそんな4人を
冷めた目で見つめていた
『感傷に浸ってる場合?』
リールが魔法陣を叩くと
紅く描かれた文字や記号が
今までにない程の強い光を発した
「っ蓮!離れろ!」
海斗の叫びに反応して
蓮はすぐに魔法陣から離れる
4人は現れたものを見て絶句しリールは楽しそうに微笑んだ
『さあ、早くこの世界を覆い尽くして……¨終焉の大樹¨。』
魔法陣から生えた大樹は
サワサワと葉を揺らした
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