「……あ、来た。」


海斗が振り向いた先には
薄暗い箱に入って
こちらに来る春達の姿

4人は海斗とその後ろにいる
神々を見て唖然としている


危険な状況……?
どこが?無事じゃん。

……なんで春泣いたんだろ?


「……海斗のばかあーっ!」

「はあっ!?」


春がふるふると体を震わせて
思いっ切り叫んだ

訳の変わらない海斗は
不機嫌そう顔をしかめた


「……誰が馬鹿だって?」

「ばかー!海斗のあほーっ!」

「その口塞いでやろうか?」

「ばかあー……っ…!」


一瞬で春の前に移動した海斗は
軽いキスをして春を
黙らせるとニヤリと笑った

状況判断が遅れた春は
ぽかんと海斗を見つめた後
みるみるうちに真っ赤になる


「俺に馬鹿って言ったお仕置き。」

「っう〜///し…心配したんだからねっ!」

「ごめんな。」

「ぶ…無事だったから……許してあげる…。」


もごもご喋る春の声は
どんどん小さくなっていく

その様子を見て噴き出す
海斗の頭に拳が降ってきた

痛みに顔を歪めながら
横に立つ蓮を睨み付けた


「てめえ……。」

「TPOをわきまえてくださーい。目の前でいちゃつかないでくださーい。てゆうか僕の春ちゃんに触らないでくださーい。」

「お前には関係ないから。」

「はあ?春ちゃんは僕の妹だから。」

「その前に俺の彼女。」

「その前の前に僕の妹。」

「その前の前の前に俺の彼女。」

「……うざいわ。」


その前の前の前の……を
延々と繰り返す馬鹿2人は
いきなり倒れて
地面にのめり込んでいく

黒い笑顔を浮かべた奈々は
きょとんとする春に微笑みかけた


「春は私の親友よね?」

「うんっ!もっちろん!」


……奈々様光臨!?


箱の隅にいた陸は恐怖に震えていました


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