「にゃー。」
「……それ以上寄ってみろ、氷の彫刻にしてやる。」
「……にゃあー?」
黄金の可愛い子猫はつぶらな瞳で
青白い顔の海斗を見上げた
この世で一番好きなのは春
この世で一番嫌いなものは蓮
でもこの世で一番恐ろしい物
それはこの¨猫¨
「はんっ!海斗ったら激ダサだね。そんな子猫が怖いなんて。」
「……うるせえ…。蛇から逃げながら涙目&涙声で言われても説得力ねーよ。」
「うるさいな!」
相変わらず物凄いスピードで
追いかけてくる黄金の蛇は
大きな口を開けて
今にも蓮を丸呑みしそうだ
みんなの様子を楽しそうに
笑いながらキラは見ている
『なあ、何で海斗は猫が嫌いなんだよー。おいらは好きだぜー。』
「昔は俺も好きだった。だけど……」
海斗は猫を光の檻に閉じ込め
安心して息を吐くと
檻の中の猫を見つめて
少し昔の話を始めた
──その時俺は8歳だった
春と陸と奈々と一緒に
小学校から帰る途中で
捨て猫を見つけたんだよ
にゃーにゃー鳴いてて
腹空かせてたみたいだから
俺達は施設にこっそりと持ち帰った
施設はペット飼っちゃダメだからな
そして俺と春で
部屋に隠した猫に餌をやった
「かわいー。」
「かわいいな。」
ミルクを飲む猫は可愛くて
春はその小さな頭を撫でていた
撫でられると気持ちよさそうに
目を細めてにゃーと鳴いた
「海斗も撫でなよー。」
「ん。」
春が手を離して
俺が触ろうとすると
さっきまでの可愛い表情を消して
猫は俺を睨み付けた
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