「陸……この世から消し去ってあげるわ。」
「ひいっ!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
黒い笑顔を浮かべ
重力の塊を両手に作りだした
黄金の奈々に謝りながら
必死で陸は逃げている
巨大ゴキブリから距離をとって
空中に佇む奈々は
黒い笑顔でその様子を見ていた
「……へえ、あれが陸の一番恐ろしい物ねえ……ふーん……。」
「ひいっ!2人に増えた!」
「……ちょっと私、手加減しないでしっかり消し去りなさい。」
「わかったわ。」
「え!?何同盟組んでんの!?」
「「黙りなさい。」」
「ひいっ!」
黄金の奈々と本物の奈々
2人に睨み付けられて
陸は背筋に冷たい物を感じた
ガサガサッ
「い……っ!」
今まで大人しかった
巨大ゴキブリが動き始め
奈々は冷や汗を流した
嫌な予感がして
さらに空高くまで飛ぶと
ゴキブリが羽を広げて
奈々目掛けて飛んだ
「いやあああっ!気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い!」
重力の塊を放ちまくるが
巨大な外見からは
予想できない俊敏な動きで
次々とかわして奈々に迫る
ゴキブリがゴールなのだから
触れれば合格できる
向こうから向かってくるのは
ラッキーなのだが
奈々はどうしても
触りたくないらしい
『10トン!』
奈々の声に反応して
ゴキブリにかかる重力が10トンになる
耐えきれずに落下するゴキブリを見て
奈々はホッと一息ついた
「もう嫌……。」
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