空の少女と海の少年



「っ!」

『よそ見してると腕無くなんぞ。』


目の前に迫るソウの剣を
とっさに避けた春だったが
痛みと共に入った赤い線に顔を歪めた

しかしその間にも
ソウは剣を振りかざしていた


「ちっ!」

『舌打ちとは行儀悪いな。もっとしとやかに振る舞え。』

「うるさい!」


2mはある大きな剣を
春は次々に避けていくが
微量ながら雷を纏う
春のスピードよりも
ソウの方が若干上

このまま避けるだけでは
春が勝つことはできない


……やってみるしかない


地下にある闇を手のひらに集め
蓮がやっているように
黒い塊を作り上げていく

拳ほどの小さな塊を見て
ソウは動きを止めて笑った


『そんなの当てても効かないぜ?』

「やってみなきゃ分かんないよ?」


春はそう言うと
闇の塊に雷と水を加え
更に練り上げていく


『叩き切ってやるよ。』

「これはソウに当てるんじゃないよ。」

『何?……まさか!』


ソウが顔を歪めると
春は勝ち気な笑みを浮かべ
闇の塊を天井に向けて放った


『嵐っ!』


ドオォォンッ!


凄まじい爆発が起こり煙が収まると
天井には巨大な穴が開き
地下に日差しが降り注がれる

青い空と太陽を見て
ソウは冷や汗が流れた


『俺の空間を壊したか……。すげえ力だ。』

「勝負はここからだよ。」


日光に照らされた春は
本来の力を取り戻した


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