空の少女と海の少年



「ここは……。」

『第三ステージ¨闇¨。よく来たね海斗。』

「ミウ。」


声は聞こえるが
どこに立っているのか
どんな表情をしているのか
何も分からない

光が存在しない
闇が支配する空間

普通の人間だったら
恐怖で震えてしまうだろう


『ゴールは扉だよ。はっきり言うけど、このステージには何の罠も仕掛けられていない。』

「じゃあ楽だな。」

『そうかな?スタートの合図と同時にこの闇は海斗の五感を奪う。』


視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚

人間が身の回りにある物質の
存在を認識する為に不可欠な感覚

その全てをなくしてもまだ
このステージが楽と言える?


ミウの言葉を聞いて
海斗は冷や汗を流した


「¨楽¨なんてとんでもねえな……ここは今までで一番難しそうだぜ。」

『怖い?』

「怖い……?」


海斗はニヤリと笑って
拳を前に突き出した


「すげーワクワクしてるぜ。絶対合格してやるよ。」

『そうこなきゃね。じゃあ……いくよ?』

「ああ。」

『スタート。』


ミウの声を最後に
海斗は全ての感覚を失った


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