雨がシトシトと降りそそぐ中
学生寮の屋上で蓮は寝転んでいた
降り注ぐ雨は冷たくて
コンクリートの床も冷たくて
蓮の体を冷やしていく
黒い重い雲を見上げると
蓮は昔を思い出した
「……あの日も雨降ってたな…。」
家族との別れと
魔神様との出会いの日
魔神様は僕が空だと知ったらどうするのかな?
リールを倒して
魔神様が元に戻っても
魔神様と一緒にまた城で暮らせる?
分からない
春ちゃん……
僕達は血が繋がってた
もしも海斗がいなくても
僕が春ちゃんを愛すことは
出来なかったんだね
僕は春ちゃんのことを
妹ととして見ることが出来る?
分からない
「……僕はどうすればいい…?」
「そんなの知らないし。てゆーか君バカ?ずぶ濡れじゃん。風邪ひくよー。」
「……あんたもずぶ濡れだし。どこにいたの。」
「君より前からここにいたし。……なんか雨に打たれたい気分だったから。」
いきなり視界に入ってきた少女は
そう言うと蓮の隣に寝転んだ
金に近い茶髪に濃いめの化粧の
派手な少女をジッと見ていると
少女は蓮の方を向いてニヤリと笑った
「なに見とれてるのよ。惚れた?」
「有り得ないよ。ねえ、あんた誰?」
「相手に名前を聞く時はまず自分から。って常識じゃん?君の名前は?」
「僕は蓮。で、あんたは?」
「うちは奈央。よろしくねん。」
そう言ってウインクする奈央は
何だか今の自分に似ている気がした
「……よろしく。」
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