『──やはり彼は王子でしたか。先代の王に似ていらっしゃった。……しかし、王子は……。』
『１６年前の人間界で起きた謎の爆発事故の後、消息・生死不明。人間界で気配を捜したが見つからず、お亡くなりになったという事になっていた。』
『しかし魔神に拾われ魔界にいたとはな……。人間界を捜しても見つからぬ訳だ。』
ユラとソウとサラが話すと
他の神々も複雑な顔をしている
春には３歳上の兄がいた
この兄もまた春達と同じように
人間界に落とされ孤児院で生活
その後に裕福な夫婦に引き取られたが
２年後に謎の爆発事故が起こり
屋敷は住人ごと跡形も無く消え去った
王子はその事故で亡くなったとされ
楽園では葬式が行われた
王女の意思で兄がいたという真実は
春が正式に王を継いだ時に話すとされた
しかしその王子は生きていた
幼く純粋な心に精神的ショックを
受けた王子は闇に染まり
無意識の内に¨空¨の力を
心の奥底に封印してしまった
だが春達に出会い光を知ると
¨空¨を隠していた闇が段々と晴れ
神々がその力を感じとれる程となった
『……蓮様が生きていらっしゃった。そのことを知らせれば、王女様はたいそうお喜びになりますわ。』
『でも、蓮は受け入れられるのかなー。驚くよね……実は自分が空の王子だったなんて。』
キラが悲しそうに言うと
ミウは溜め息をついた
『それは蓮次第。私たちにはどうすることもできないよ。』
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