空の少女と海の少年



「──って訳だから僕の能力視てくれない?」

「……嫌。私あなた嫌いだから。」


学生寮15階にあるカフェ
¨free style¨のカウンター席で
蓮と由紀は話している……のだが


「ねえ。もうそっち行っていい?」

「それ以上近寄らないで。同じ空気を吸いたくない。マスター、換気扇回して。」

「かしこまりました。」


お互い席の端っこに座っての会話に
マスターは小さく笑った

普通隣りに座るよね?
と蓮が近付こうとする度に
断固として由紀が許さなかったようだ

蓮が溜め息をつくと
目の前にカフェオレが置かれた
顔を上げるとマスターが微笑んでいた


「初めてお越しの方にはサービスです。もちろんお代は頂きませんよ。」

「……マスター…。」


うるうるしながら見る蓮の姿に
マスターはまた微笑んで
由紀の方に歩いていくと
蓮に聞こえないように
小声で話し掛けた


「……そろそろ視てあげたらどうですか?捨てられた子犬のようですよ。」

「マスターが言うなら……仕方ないね。」


由紀は仕方なく目を閉じて
意識を蓮に集中させていく


……暗い闇ばっかり
やっぱりあいつの能力は闇

え……光?
何で闇のくせに光があるの?

それに……この感じ誰かに似てる
……まさか!!


由紀は目を開けると蓮に視線を向けた
いきなり見られた蓮は
びっくりして由紀を見返す


「……嘘…あなた……。」


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