空の少女と海の少年



「──で、なんでユラがいるんだよ。」


イライラしながら海斗が聞くと
ユラはにこりと微笑んだ


『第二試練のお知らせに来ました。¨力¨の試練のクロスカントリーは二週間後に行います。過酷な試練なので体力をつけておいた方がいいと思いますよ。』

「クロスカントリーって何〜?」

「原野・丘陵・森林などを横断するコースで行う長距離競走だよ。分かりやすく言うと……障害物競争かな〜。」


蓮が答えると春達はふむふむと納得した
魔界にいたのに蓮は意外に物知りらしい


『その通りです。競争ということで今回は個人戦ですが、最終ゴールに辿り着けば合格となります。』

「競争かーなんか燃えるぜ!頑張ろうな奈々!」

「陸だけには負けないわ。」


天使の微笑みにキュンとした陸は
奈々に抱きつこうとしたが
奈々様の重力操作によって
プチっと押しつぶされた

僕は関係ないと
ひとりテレビを見ている
蓮の肩をユラは叩いた


『あなたも参加して頂きますよ。』

「僕は王族でも神でもないんですけど。」

『普通の人間でも試練を受けることによって何倍にも強くなれます。リールを倒すには今のままでは無理ですよ。』

「……ふーん…分かったよ。僕も受ける。」


蓮は溜め息をついて
またテレビに視線を戻した

ユラはふと真剣な表情になると
蓮の横顔をジッと見つめた


(……この少年どこかで見たことがあるような…。)


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