耳元で囁かれる声のせいで
春の心臓はばくばくと煩い
「だからーっ!春の方が海斗のこと好きすぎて不安…なんだよー…。」
海斗の腕を握って俯くと
抱き締める力が強くなったのが分かった
「……蓮が来て、いつか春の気持ちが蓮に戻っちゃうんじゃねーかって不安だった。」
「え……?」
「両思いになっても、どんどん春のこと好きになっちまう。俺ばっか春のこと好きなんじゃねーかって……でも春の気持ち聞いて安心した。」
春を抱き上げて向き合うように
自分の膝の上に乗せると
真っ赤な顔の春と目が合う
「愛してる。」
そして唇を合わ「ただいま春ちゃーん!!」
……そして邪魔者(蓮)が帰ってきました
「……は?」
海斗と春がそのまま固まっていると
玄関の方から聞き慣れた声が聞こえてきた
「ただいま〜。」
「あら蓮。早かったわね。」
「買い物が早く終わったからね。陸と奈々ちゃんも早かったじゃん。」
「映画館が工事中でさ〜。仕方ないから街ぶらぶらして帰ってきたんだよ。」
あはははははと笑い声が聞こえる中
春と海斗は顔を見合わせると溜め息をついた
「なんでだろうね。」
「なんでだろうな。」
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