空の少女と海の少年



「あ、蓮君は残って。」


校長が蓮を呼び止めると
春達は「先に部屋に帰るね〜。」
と帰っていった

蓮は校長の前まで行くと
さっきのソファーに座った


「なんですか?」

「私は君の正体を知ってるわ。」

「……僕が魔界から来たこと?別に隠すことじゃないからどうでもいいんだけど。」


呆れたように蓮が言うと
校長はクスリと微笑んだ


「そんなことじゃないわ。私が知っているのは君が知らないことよ。君の本当の姿、本当の能力。」

「あんたの能力は何なんだ。何でそんなことが分かる。僕は……なんなんだ?」

「私の能力は¨絶対予知¨。君の真実は私が教えなくても近い内に分かるわ。……心の準備をしておいた方がいい。私がいいたいのはそれだけよ。帰っていいわ。」


¨絶対予知¨
空と海が世界を救う未来を見たという力
現在確認されている能力者は
学園の校長ただひとり

蓮はしばらく校長の瞳を見ると
溜め息をついて部屋を出て行った

校長はすっかり冷めた紅茶を口に運ぶと
窓の向こうに広がる空を見つめた


「空だけじゃダメなのよ。海も見なきゃ始まらないわ。」


彼が真実を知るのも
全てが始まってから


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