倒れた春の髪を掴んで
顔を上げさせると
ニヤリと笑った


『馬鹿?融合する余裕があると思ってるのかしら。……可愛い顔ね。ぐちゃぐちゃにしてやりたいわ。』

「止めろ!春には手を出すな!」


海斗は必死に起き上がろうとするが
まだ体が言う事を聞かない


『身代わり?格好いい王子様ね。別にいいわよ……ん?』


そんな海斗を哀れむように
見下していると
春がドールの顔に唾を吐いた

唾を手で拭うと
春を地面に叩き付けた


『やってくれるじゃない。いいわ。あなたは王子様の前でじっくり痛めつけて殺すわ。』

「ふざけんな!止めろっ!」

『黙って見てるのね。』


赤い瞳がキラリと光り海斗の自由を奪う

悔しそうに歯を食いしばる海斗を見て
満足そうに微笑むがすぐに消え
足元の春を踏みつけた


『こざかしい。何をした?』


海斗がいた場所には
無数に舞う桜の花びら

春は口の中の血を吐くと
小さく笑った


「桜吹雪……。綺麗で…しょ…?」


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