瞬時に造られた
雷・氷・水の三層の
強固な結界にヒビが入り
爆発音と共に破られると
爆風によって全員吹き飛ばされた
春を庇って地面に強く
打ち付けられた海斗は
意識が飛びそうになるのに
耐えると腕の中の春を見た
「……春…平気か?」
「海斗!血がっ……ごめん…春の事庇ってくれた…。」
「当たり前だ。しばらく動けねーけど。みんなは……?」
春は立ち上がって周りを
見渡すと言葉を失った
そこには見慣れた庭はなく
抉られた地面
枯れた草木
壊れた噴水
学生寮は透明な結晶に
覆われていて無傷だった
あれは奈央が張った結界だ
この爆発で壊れなかったってことは
蘭の絵の具の効果だろうな
けどみんなは?
遠くに飛ばされたの?
「……みんなはいない。この爆発って……。」
「まさか…『私だよ。』
クスクスと微笑みながら
前に降り立ったのは
海斗が倒したはずのドールだった
春は海斗を庇うように立つと
ドールを睨み付けた
『王子様、あれは痛かったわ。修復にこんな時間がかかったのは初めてよ。』
「……どういうこと?」
『私を倒したいなら、完全に消し去る事ね。』
「分かった。」
春はジュエルに触れて
融合しようとするが
鎌の持ち手で腹を殴られて
その場に倒れ込んだ
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