空の少女と海の少年



サラの腕の中で眠っている
春の顔には涙の後が残っていた

2人の隣ではセラがハープを弾いていて
さっきまでの怒りが
引いていくのが分かった


「……春は?」

『強制睡眠をかけて、今は気持ちを静めさせていますわ。』

「それがセラの武器なのか?」

陸がハープを指差すとセラは頷いた


『これは¨人魚の歌声¨。演奏する曲によって癒やす事も傷付ける事もできますわ。』

『そんなことより、ドールは逃げたのか?気配が消えたが……。』

「海斗がキレて氷の彫刻にした後、粉々に砕いて今は……溶けて土に還った?」

「そんなところね。」


陸が説明するとサラとセラは
驚いて顔を見合わせた


『ドールがそんな簡単にやられましたの……?』

『嘘だろう……おいユラ。本当か?』


海斗が融合解除して
ユラが現れると頷いた


ユラが敵を生かしておく訳がない
本当に倒したのだろう


安心してホッと2人が息をつくと
春がゆっくりと目を開き
近くにいた陸に抱き付いた


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