空の少女と海の少年



『──あら……悪い事しちゃった?私はリールじゃないんだけどね〜。……そのお姫様、随分と心が弱いみたいね。』


頭を抱えて泣いている春を見ながら
クスクスと笑うドール

風を切る音と共に
その片翼がバサリと
地面に落ちた

ドールは痛みに顔を歪ませて
羽根の付け根を押さえ出血を止める


『……っ。そんなに怒らなくてもいいじゃない王子様。……痛いわ。』

「消えろ。」


ザシュッ


海斗はドールの胸を剣で突き刺すと
憎悪に満ちた瞳で睨み付けた


「氷の彫刻にしてやるよ。」

『がはあっ!……やめ…ろ…!』

『氷結』


そう呟くと刺した所から凍り付いていく

ドールの体が氷に変化し終えると
剣を抜き、左手を突き出した


「砕けろ。」


パァンッ


ドールの体は砕け散って
細かな氷の粒となって
地面に降り注いだ

海斗がそれに背を向けて
春の所に走ると
奈々と陸も後に続いた


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