真ん中まで来ると
両手を前に突き出して
精神を集中させていく


『深世界』


呟くと薄く黒い膜が
海斗と春とサラを
包みこんでいく


『相変わらずミウの結界は素晴らしいな。』


薄いのに決して
破れることのない闇のヴェール


春は少し頬を染めながら
海斗の服の裾を引っ張る


「……ありがと。」

「ん。」


春の髪をクシャっと撫で
海斗はホールの扉を見据えた


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