空の少女と海の少年



奈々は周りを見渡すと
1人足りないことに気付いた


「奈央は?」

「……奈央は寝ている。昨日仕事だったから。」


由紀がそう言うと
奈々と陸は顔を歪めた


「……仕事?」

「私達Sランクには¨上級以上の魔物討伐¨と言う義務があります。それが¨仕事¨です。」

「上級以上の魔物が出現したら携帯に協会から連絡が入る。そしたら倒しに行くの。」

「「普通はグループで行動するけど、昨日の魔物は弱かったから、奈央ちゃんが1人で行ったんだ。」」


奈々と陸は上級の魔物を
見たことはない
街にいたのは低級ばかりだった


「他のSランクはいないのか?」

「Sランクは世界に15人しかいない。日本にいるSランクは私達を含めて7人…君達も含めると11人になるね」

「私達が4人、由紀達が5人…あと2人はどんな人なの?」

「1人は君達も知ってる。この学園の校長先生だよ。あと1人は…」


由紀はそこまで言ってふと窓の外を見た
どこか懐かしそうに目を細めると
その口元に緩やかな弧を描いた


「馬鹿な男だよ。君達も…いつか会うかもしれないね」



_