こうして周囲に支えられながらオープンした占いの館。

最初の頃は悲しい程客足が無かったのだが、低料金がウケたのか、今では日に数人、祝日には20人程はやってくるまでになっていた。

しかし、当のしのぶは


「暇な方がいい」


とぼやいている。

占いを趣味にしていた母親とは反対に、占いには興味がなかったしのぶには決して楽しくはない仕事だった。

しかし、しのぶは今日も月華として店に出る。

生きていく為に。

生きていくにはお金がいることを、嫌というほど分かっていたから。