月華、本名は成沢 しのぶ。

彼女は1年前に両親を失った。

飲酒運転の車による巻き添い事故。

悲しみに暮れるしのぶを更なる不幸が襲った。

裕福だと思っていたのに、かなりの負債があったのだ。

家や財産はほとんど差し押さえられ、頼れる大人もいなかった。

残されたのは古びた雑居ビルの一室と、母親が大事にしていた水晶玉と、大量の薄汚れた占いの本だった。

しのぶは高校進学を諦め、卒業を待たずに雑居ビルに住み着いた。

生きていかなきゃならない。

だけどどうやって生きていけばいいのか分からない。

そんな時、水晶玉と本が飛び込んできた。

雑居ビルに住む他の住人達に支えられ、しばらくの間は占いの勉強だけをしていても生きていけた。

2ヶ月の間、しのぶは本を幾度も読み返し、占いについて彼女なりに勉強を積んだ。

そして『占いの館 ルナ』をオープンさせた。