「静かにしろ」
耳元から聞こえる声。
目の前が見えない分、直に身体に伝わってきて。
でも、それはいいものなんかじゃなかった。
冷たく、吐き捨てられたような声。
その言葉は私の身体を強張らせた。
「随分怖いですね?そんな事したら嫌われますよ。」
「黙ってろ。」
目にあったいる手が少しだけ反応した気がした。
「まぁ、いいでしょう。この資料をお届けに来ただけなんです。」
何かの資料なのか、何枚もの紙の音が聞こえる。
「それは二週間も後の話だろ?」
「早いほうがいいかと思いまして。」
多分、いや絶対に柚木さんは笑顔だ。
動くことの許されない身体で判断するのは難しいけど、そんな気がした。
「それに――」
突然言葉を止めた柚木さん。
どうしたんだろう?
分からない。
「何が言いたい。」
敵意をこめているのか、やけに強く言ってるように感じだ。
「龍野は、頭が良いからね。大切なものは、俺には見せてくれない。」
さっきまでの話し方とは違う上に、くすりと笑う柚木さん。
「・・・・資料は預かった。早く消えろ。」
「はいはい、それでは失礼しますね。」
あ、と何かを思い出したかのように柚木さんが呟いた。
「・・・紗那さん、また今度ゆっくりお話でも。」
・・・え??
なんで私の名前・・・・?
私の疑問を打ち消すように扉が閉まった音が聞こえた。

