「パーティーは、どうしたんですか。」
「抜け出してきた。」
さも当たり前のように答える社長。
「さっきの女の人達は?朝までずっと一緒にいれば良かったじゃないですか。」
「女は面倒だから傍にいたくねぇんだよ」
女は面倒??
そう言われた瞬間、何かが切れた気がした。
「面倒?あんな笑顔してよく言えますね。」
「それに私も女なんで。大分面倒で悪かったですね!!」
息が荒くなるうえ、声も大きくなっていた。
「うるせぇな。頭に響く。」
「あぁ、そうですか。それは、失礼しましたね!」
なにその反応。
ふざけてるとしか思えない!!
こうなったら、全部怒鳴るまで言ってしまいそうだ。
「何イライラしてんの?」
不思議そうな顔でこちらを向いた。
「それは社長が・・・っ!!」
言い終わる前にぐいっと腕を引っぱられ、社長の元へ倒れていく。
「で?俺が何?」
「・・・っ。」
あの時と同じだ。
私のクビがかかっていた時と。
社長は、試すようにあの時と同じに聞いてくる。
「ほら。言えよ。」
「・・・。」
こういう時に、いかに自分が弱いかがわかる。
声に出そうとしても、喉に詰まって出てきやしない。
ほんとに情けない・・・。
「・・・ったく。」
呆れたようにため息を吐きながら言った。
その表情は、実にめんどくさそうだった。
でも、何故か私の頭の上には社長の手。
その手は、ゆっくりと私の頭を撫でている。

