「酔って寝ている由香里ちゃんを見かけたから・・・ほら、一人じゃ危ないでしょ?」
「その・・・すいません・・・。」
申し訳なさそうに軽く頭を下げる。
「大丈夫よ。沙那ちゃんは・・・?少し顔色悪そうだけど・・・?」
大丈夫?と心配そうな顔をする鈴木さん。
「え・・・と・・・少し休めば大丈夫です・・・。」
本当は、ちょっとだけ落ちこんでる。
だって私には見せてくれなかった。
あんな笑顔・・・。
私は近くにあったワインを一気に口の中に流した。
「おいしいっ!」
偽の笑顔を浮かべてまで。
無理やりなかった事にする私は本当に弱い。
それでもやっぱり笑って、次々とお酒を口の運んでいった。
このまま記憶が消えてほしい。
そう願って。
――――
「うぅ・・・気持ち悪い・・・」
その結果呑み過ぎて頭がぐらぐらしてくる。
鈴木さんは、由香里を家に送って行くみたい。
私も送っていくと言われたけど、2人して家まで送って貰うのは申し訳なくて。
私は一人で家に向かう事にした。
近くにあったタクシーが空いていたので、そこに乗り込む事にした。
「すいません・・・家までいいですか?」
ふらふらと今でも倒れそうなぐらいに酔いが回っている。
「大丈夫ですよ。どの辺ですか?」
タクシー運転手さんは、にこっと営業スマイルで笑いかけてきた。
「えっと・・「近くにあるホテルまで頼む。」
・・・え?
ホテルって、私の家の近くにはないんですけど・・・。
「早く乗るぞ。」
ぐいっと手を引っ張られ、タクシーの中に入った。
・・・??
だぁれ?

