激しく上下にバウンドする車内で頭を天井にぶつけた。激しい衝撃が再び車体を貫く。頬を弾丸が掠め、その風切り音に肩を竦ませた。

(こんなとき映画なら……)

 激しく銃撃を受けながらも、それでも逃げおおせる場面をよく観たものだ。

 突然エンジン音が空回りするように悲鳴を上げ、左後ろに車体が傾いた。

 金属がアスファルトを削る音が響き、鳥肌が立つような不快な音が耳を突く。撃ち抜かれた左のリアタイアはバーストするどころではない。シャフトごともぎ取られて車はコントロールを失った。

(喰らってるじゃねえか!)

 躊躇する暇はなかった。ドアを開け車外へ飛び出すと、間髪入れず燃料タンクを撃ち抜かれた車は火を噴き、その爆圧で俺は歩道へ吹き飛ばされた。