一見していわゆるヤンキーが乗るような車高を落としたハイソカーだ。

 先に飛び出してきた車は紫に塗装されており、その後ろは派手なピンクとどちらも悪趣味なことこの上ない。

 その交差点を曲がりきらないうちに、後ろのピンクの車のサイドウインドウが粉々に砕け散った。同時に激しい銃声が道路に響き渡る。

(しまった!)

 自動装銃なんて生易しいものじゃない。屋根が吹き飛びボンネットがめくれ上がっている。そして車はそのまま電柱へと突き刺さった。

 前を走っていた紫の車は死体を跳ね上げながら俺の横を通り過ぎていった。

 ぐずぐずしてはいられない。こちらもギアをローに突っ込み、前方へと猛ダッシュを敢行した。クラッチを繋ぐとバックしていたリアタイヤから白煙が上がる。

 交差点から姿を現し、ルームミラーに映り込んでくる黒い大きな陰。その屋根には人影を覗かせ、そこには大きな機関銃が備えられていた。

 自衛隊の装甲車だ。