しかし、亜紀に会えないのならば助かっても意味はない。もう風を切る相棒も失った。

 崩れ落ちたアスファルトを伝い、無人の高速道路に立つ。至る所に土煙があがり、それは太陽の光を遮って夕方のような暗さを漂わせていた。世界の終末。それは間違い無く近づいている。

 左肩を路壁に叩き付ける。激痛に耐えながら三度目のチャレンジで、やっと肩は元あるべき場所に戻った。

(行くしかない……)

 赤黒く染まった空の下、誰も居ない高速道路の上をひとり前へと歩き出した。

 あと十七時間――