爆風がわずかでも体を押し上げたことは不幸中の幸いだったろう。噴き上げる炎を辛うじて飛び越えることが出来たようだ。

　体がその落下速度を速める。正念場はここからだ。急斜面に植林された木々に突き刺さるように落ちてゆく。まともに落ちては助かる見込みなどない。

　濃い緑の塊がその形を細かい模様に変えると、枝の一本一本が急激に象を成す。浮遊している感覚が一気に落下感に塗りつぶされた。