(やばいやばいやばい!)

 危険が迫っているのを本能が察知する。バイクを止めるべきだろうか? このまま進むべきか? しかし暴虐な破壊者は躊躇する猶予すら与えてくれなかった。

 斜め上空を低く追い抜いたひとつの隕石が右前方の山頂を捉えた。

 爆発的な威力で山肌を貫き、山は形を変え炎と土砂が空に舞い、続いてバイクの排気音すら掻き消す衝撃音と地響きが聴覚の全てを奪う。その威力の凄まじさには絶句するしかない。小さなものとはいえ、その破壊力は想像を遥かに超えていた。

 続けざまに風切り音を轟かせる数個の隕石。ミサイルが飛んでくるとしたらこんな感じなのだろうか?

 地面を掠めるように頭上を飛び去った直後、立て続けに前方の山々は土砂を撒き散らしてその身を震わせた。衝撃で道路が波打つのが分かる。恐怖は頂点に達した。

(どこに逃げりゃいいんだ!)