あの後二人で大笑いしたんだったな。あの時の気持ち……今ならこれだけはっきり思い出せるんだ。

 それなのに……なぜそのあと忘れてしまったんだろうか――。


 後悔を振り切るようにアクセルを開けた。時折バランスが崩れるのは隕石の激突によって地面が揺れるせいだ。落下の頻度は時間が経つにつれて増しているようだった。

(なあ、亜紀……またあそこでコーヒーを飲みたいな)

 携帯コンロとドリップとマグカップ。そして手挽きのミルとブルマンの豆があの場所での必須アイテムになっていた。亜紀はそこで飲むコーヒーが、最高の贅沢で最高の幸せだと言った。



――あと十八時間