――俺はポケットにそれを入れて亜紀と二人でそこへ行ったんだ。


 細い山道に四サイクル単気筒の音が不等長に響き、喘ぎ喘ぎ登っているのが分かる。

「お尻痛いよ~!」

「ケツ上げとけよ、もう少しだから我慢我慢」

 細い上に傾斜はきつく、歩いて登ってもかなりきつい道を二人乗りのオフロードバイクで登った。

 やがて前方の木立が切れ、目の前が明るくなった。ずっとリアに懸かっていた荷重がふっと軽くなる。

 ようやく登りきった先、ここに亜紀を連れて来たかったんだ。