一瞬の静寂を破る一発の銃声。

 しかし仰け反り倒れたのは俺ではなく自衛隊員の一人だった。自衛隊員の後ろに倒れていた男が震える手でまだ煙の立ち上るライフルを構えている。

 再び銃声が響く。しかし今度は自動装銃によるものだった。

「っざけんなよコラ!」

 血肉が飛び散り、すでにボロ切れのようになり果てた男に、残されたもう一人の自衛隊員がなおも罵声を浴びせながら引き金を引き続ける。やがて弾が切れると、手にしていた自動装銃を投げ捨て、同僚の自動装銃を手にとった。

 俺はこの時なぜ逃げなかったのだろう? 俺は何をしようとしていたのだろう?

 その自衛隊員は俺を睨み、自動操縦を手に歩み寄って来た。スタンド内に足を踏み入れると、銃口を俺に向けた。