「ありがとう。あなたも……」

 その先は言葉にならなかった。この自衛隊員にも親がいる、恋人だっているだろう。同じように残された時間はわずかしかないのだ。まさか自分を犠牲にしてまで他人を助けるだろうか?

 俺には出来ない。

 感謝と感動が胸を衝いた。

 涙にゆがむ視界の中で、再び轟音とともにタコメーターの針が跳ね上がる。

「あなたのことは一生忘れない!」

 自衛隊員は無言で優しく頷いた。まだ俺より若いだろう。しかしその人生はもう秒読みに入っているのだ。

 崩れたアスファルトが重なり合うウォッシュボードのような高速道路を腰を浮かせてスタンディングしたまま、半ば飛ぶように走る。空には大気中で消えてしまうほどの大きさの隕石が流れ星となって空を駆けていた。



あと二十一時間──