「亜紀……待ってろ」

 この言葉をうわごとのように繰り返しながら、また一歩、また一歩と足を前に出した。

(あいつら……どうしてんだろ?)

 意識が混濁しそうになる中、脳裏に最初に高速道路で俺を救ってくれた自衛隊員の優しい笑顔が浮かんだ。

 日に焼けた肌に白い歯がさわやかだった。

 今も必死に救助活動を続けている姿が見えるようだ。


 次に出会ったのは……

(隆と……確か美沙子さんだったな)

 若林と俺がオーバーラップする。

 自分のした事に後悔し、そして幸せを取り戻す為に命を賭けた。看護師もまだ頑張っているのだろう。こっちだってまだまだ負けるわけにはいかない。