「たすけてください!」

 泣きじゃくるようにして発した言葉は救いを求めていた。

「お願いします!」

 その言葉を聞きながら、俺の目は前方に現れた装甲車を捉えていた。大砲まで備えた随分とヤバそうな奴だ。

「とにかく乗れ!」

 もどかしいほどたじろぐ青年の手をとり足をとり乗せようとするが、バイクに乗るなど初めての経験なのだろう。要領を得ずになかなか乗ることが出来ない。

(たかがこんな事くらいで……)

 目が見えないというハンデがいかに重いのかという事実を、よりによってこんなところで突きつけられるとは思ってもみなかった。