「自衛隊同士で?」

「そう」

「情報ありがとう。でも死んでも行かなきゃな」

「死んじゃだめ。その人があなたを愛してるんなら死んじゃだめよ。『命をかけて』なんて独りよがりのヒューマニズムだよ。絶対生きて会ってあげなきゃ」

「そうか……そうだな」

「そうよ。だからわたしもあなたがその人に会えるよう祈ってる」

「ありがとう」

 笑って手を差し伸べる侑海ともう一度別れの握手をした。そしてあさきちを見つけたら協力して欲しいと頼み、暗いトンネルを後にした。


 久しぶりにひとりで夜道を走っていると、全速力で走ることに神経を集中していても、やけに考える事が多くなる。

 そしてそれは、やはり亜紀との思い出にたどり着いてしまう――。


 日本一の規模を誇る陶器市に毎年二人で出かけていた。二人とも食器に対してはこだわりが強く、おいそれと気に入ったものは見つからない。

 今日もすでに夕方になろうかというのにリュックの中にはまだ二枚の皿しか入っていなかった。

「この茶碗、柄は良いけどこのラインがなぁ……」

 手にとっては棚に戻す作業ばかり繰り返している。そんな時、とある店の片隅で亜紀が声をあげた。