水を含んだ土の上に俺は膝をつき、そして両手をついた。その姿に二人は目を丸くした。

「お義父さん、ずっと詫びたかった。でも顔を合わせる勇気もなくて……亜紀を幸せに出来なくて本当に申し訳ありませんでした!」

 俺が親なら蹴りの十発や二十発では済まないだろう。しかし義父は泥にまみれた俺の手を取ってこう言った。

「真樹夫君だけが悪いわけじゃないんだ。私たちも悪かった。あのとき子供をなぜ作らないのか? と亜紀に私たちも言ったんだよ。誰よりもあの子の事を知っているはずの私たちでさえ、結婚したら子供は出来るものと決めつけていたんだ」

 見上げた義父の目からも後悔の涙がこぼれていた。