「お前の生きる意味?」

「そう。俺はあんたを幸せにするために生きてきた。あんたの幸せは亜紀さんの幸せであって、それはみんなの幸せでもあるんだな」

「意味がわからない」

「あんたと亜紀さんはみんなに愛されてるってこと。あんたらが幸せになれなかったらみんな死んでも死にきれないんだって」

「だから何でお前が俺を……」

「友達だから……って理由で十分だろ?」 

 相変わらず破天荒なことを言い出す奴だ。昨日の夕方初めて出会った男に生きる意味を見いだしたというのだろうか?

「理屈じゃないっしょ、友情って」

 あさきちの温かい心が俺の魂を揺さぶった。義父はそう言ってのけるあさきちに対して礼を述べ、そして俺に言った。

「もう時間がない。早く!」

 しかし俺は義父にどうしても言っておかねばならない事がある。それはこの五年間、ずっと鎖のように俺を縛り付けて離さなかったものだった。

 ずっと言えなかったが、もう言う機会は今しかないのだ。