声のするほうへ駆け下ると、懐中電灯をせわしく動かしながら義母の名前を呼ぶ初老の男がいた。広い肩幅、ひと回り大きな体に野太い声。間違い無い。

「お義父さん!」

 そう叫んで駆け寄ると、義父は懐中電灯の明かりで俺の顔を照らした。

「……真樹夫……君か?」

「はい」

「なぜここに……?」

 何故って、亜紀に会うためという目的以外に有り得ないだろう。しかしそれを言いかけた俺に義父が被せた言葉を聞いて慄然とした。

「亜紀はどうした!」

 その言葉の意味するものは……まさかここには……。