運んだ先の医師は火がついたように看護士らに次々と指示を飛ばしていた。

「気管支拡張剤常注して!」

「血中酸素濃度80です!」

「酸素をもっと!」

「血圧低下してます」 

 処置室の中から医師が飛び出してきた。

「旦那さん?!」

「は、はい」

「なんで重度の喘息患者が妊娠してるの?! あんた奥さん殺す気?」

 答えに詰まる俺を無視して医者は続けた。

「子宮口が開いてる。このままだと切迫早産しちゃうけど、防ぐ手段としてシロッカーっていう子宮口を塞ぐ手術をしないといけない」

「手術!?」 

 事態の大きさに体が震えた。