「すいません! スカートにかかりませんでしたか?

「はい、大丈夫ですよ」

 明るく答えるその笑顔に俺は一目惚れしていた──。



 前方に車の列が現れ、回想から引き戻された。

 次々とテールランプが灯り、あっという間に高速道路は車で埋め尽くされてしまう。まだ神戸にもたどり着いていないのに、この状態では先が思いやられる。

 他の奴らも焦りが頂点に達しているのだろう、最後尾に取り付くと激しいクラクションが鳴り響いてきた。