炎に焦がされてはいたが、夜の空は今まで見えなかった幾多の流星群を浮き彫りにしていた。

 いまこうしている間にも、どこかに多数の隕石が落下している。そのことは改めて残された時間が少ないことを認識させた。

 しかしそんな時にでも人は争い殺し合うのだ。

 いくら自衛隊が強力な武器を装備しているとはいえ、圧倒的な数で迫り来る暴徒に飲み込まれ、返り討ちに合うシーンも、何度も目にした。

 そんな留まることのない暴徒の狂気は、航空自衛隊まで救助活動ではなく、暴徒鎮圧に向かわせなければならなかったようだ。空から降り注ぐ機関砲の掃射が夜の闇を切り裂いていた。

(くそっ、こっちも駄目か!)

 先ほどから暴徒集団や自衛隊、封鎖のバリケードなどにより迂回を余儀なくされていた。

 顧みると、暴動が起こっている地域と静かな地域とでは対極的なたたずまいを見せている。ただ、暴動がひとたび起こればその小さな狂気の火は瞬く間に燃え広がり、暴力が暴力を呼ぶ凄惨な街へと一変した。