ついに炎に包まれた街が眼前に広がった。ヘリの爆音といたるところで爆発の放つ光に包まれた街は、もはや戦場へとその様相を変えている。

 そして、武器を抱えた暴徒の姿が、炎に写し出されては消えた。

(亜紀! 無事でいてくれ)

 祈るような思いしか浮かんでこない。

 弾丸が闇の中で幾つもの線を描いていた。そのなかへ躊躇わず突っ込み駆け抜ける。途端に聴覚は銃声と悲鳴に支配され、ノスタルジックな感情は吹き飛ばされた。

(俺は生きる!)

 煙と火薬の匂いが立ち込め、かつての懐かしい面影が見るも無残に変わり果てた街並みを猛然と走り抜ける。

 どうしても手に入れたいものがある。それはもう手の届く場所まで来ていた。



 あと十一時間――