ずっと明るく振る舞っていたが、まだ十五歳の少女だ。耐え難い辛さだったろう。本来ならば嘆き悲しんで泣きわめきたかったはずだ。

(無理しやがって……)

 俺はもう二度と会うことのない、見た目よりもずっと強かった少女の頭を撫でた。

「早由利、元気でな」

 俺の発した別れの言葉で、早由利は大粒の涙を溢れさせた。鼻水混じりの涙でマスカラが溶けてひどい顔になっていたが、それでも愛しく思えて、永遠の別れは胸に鋭い痛みを覚えさせた。

「あたしのこと……忘れないでいてくれる?」

「ああ」

「あたしが生きていたこと、覚えていてくれる?」

「死ぬまで忘れないから、大丈夫」

「ありがとう……あたし祈ってる……その人に会えるように」

 そこまで告げると喉の奥でこらえていた感情が一気に噴き出し慟哭した。俺は頷き、もう一度泣きじゃくる早由利の頭を撫でた。