地球最後の24時間

 少女をおぶってコンビニを出ると、今度は郊外を目指して歩き始める。今はとにかくこの危険な街を離れるのが優先だ。

 そんな緊迫する空気のなか、背中の少女はまるで他人ごとのように俺に話しかけてくる。

「ねえ、おじさん名前なんていうの?」

「おじさんじゃねえ、お兄さんだ」

「いくつ?」

「三十五」

「おじさんじゃん」

「お・に・い・さんです」

「なに言ってんの。あたしより二十歳も年上じゃん」

「じゃ、さよなら」

 少女を降ろそうと腰を屈めた。

「うそうそ! お兄さんだった、お兄さん」

 完全にからかわれているようだ。

「だから名前は?」